「あの男の為だったら…」
第一希望の物件に断られました…
物件オーナー面接になんとか漕ぎつけた際に
「かき氷屋?夏はいいけどねぇ~冬はどうするの?」
「多少の腕に覚えがあるので、温かい料理を出してしのぎますっ!」
「うーーん」
後日同席してくださった不動産屋さんから電話が
「……あっ、はい…、やっぱり…」
やっぱりな、家主さん時間かけて面接した割には、帰りに目を伏せてたもんな。
頼りになる元商売人の友人とあれやこれやと内装プランを話しあっていたのだが。
撃沈。
ひみつのアッコちゃんは「そこは気が進まない」と言ってたし、完全なスケルトンでお金かかるし、家主さんは以前テナントに何十年も入っていた●●料理は必ず出してと言っていたので、●●料理がうちのかき氷のお客さんのニーズに合わなかったら困るし………
気を取り直そう。
そうだあそこは断られてかえってよかったんだ。
「ひみつ堂」には合わなかったんだ。
一度ぐらい断られといたほうが、ハングリー精神が出て意欲がプラスに向くのだ。
嫌なことは、絶対にプラスに転換しないと気がすまないこの性格。
次なる物件を当たりますっ。
という訳で1日歩いて、色んなお店に入って、「ちょっといいかな?」と思える物件のお隣にある居酒屋さんに財布のひもを心配しつつも暖簾をくぐることにした。
「いらっしゃい」
夕方五時のこの時間、さすがに先客はいなかった。
大将の作った大皿に盛られたお料理をあれこれと頂き、この辺のことや、このお店のことなど聞きながらお話させていただいた。
「なんで自分のお店を出したんですか?
」
「20年前でバブルの頃だったんで、勢いでかな(笑)」
景気が良かったバブルの頃に出した個人店が荒波を乗り越えて、今もなおがんばっているなんてすごいな。
そうこうしてるうち、ガラガラっと常連さんらしき初老の紳士がやってきた。
紳士は店の奥さんと話してて、僕は大将と釣りの話をしていると、「先輩、ちょっといいですか~」と釣りの話に入ってきた。どうみても自分より小僧の僕に「先輩~」なんてドラマで会社の役員を引退した相談役が似合いそうな紳士にそんな切り出しされると、最初は恐縮したが、海の話に盛り上がり「若いうちは海にいって、中盤は山で、最後は海にいくんだよね~、ほら体力なくなって山登りなんてできなくなっちゃうから、泳ぎゃしませんよ海でぼけっとしてるだけ(笑)」と話す紳士の話に深いなぁと共鳴していると、「いや~今日は楽しいなぁ、あっ物件探してるんだっけ?それ飲み終わったら僕がこの町案内しますよ」と言ってくださり、さすがに悪いのでお断りしたんですが、お銚子が空になって二人でお店を後にした。
紳士は地元の人に人気のお店を数件僕に教えながら歩いてくれているのですが、天気が暖かくなってきた日中と打って変わって、「北風と太陽」が頭に浮かぶほどの強い風。本当に悪いので「ありがとうございます、気温下がってるのでもうお帰りになられてください。」というと「いや、あのね~、あの男の為だったらね~何かしてやりたいんだよね~」と千駄木の駅まで見送っていただき、紳士はコートの襟を立て団子坂を登っていかれた。
「あの男の為だったら……」
うらやましいな。
お店の人とお客さんという関係を超えた関係。
短い時間に人生の色々なことを教えてくださった大先輩に感謝です。
物件オーナー面接になんとか漕ぎつけた際に
「かき氷屋?夏はいいけどねぇ~冬はどうするの?」
「多少の腕に覚えがあるので、温かい料理を出してしのぎますっ!」
「うーーん」
後日同席してくださった不動産屋さんから電話が
「……あっ、はい…、やっぱり…」
やっぱりな、家主さん時間かけて面接した割には、帰りに目を伏せてたもんな。
頼りになる元商売人の友人とあれやこれやと内装プランを話しあっていたのだが。
撃沈。
ひみつのアッコちゃんは「そこは気が進まない」と言ってたし、完全なスケルトンでお金かかるし、家主さんは以前テナントに何十年も入っていた●●料理は必ず出してと言っていたので、●●料理がうちのかき氷のお客さんのニーズに合わなかったら困るし………
気を取り直そう。
そうだあそこは断られてかえってよかったんだ。
「ひみつ堂」には合わなかったんだ。
一度ぐらい断られといたほうが、ハングリー精神が出て意欲がプラスに向くのだ。
嫌なことは、絶対にプラスに転換しないと気がすまないこの性格。
次なる物件を当たりますっ。
という訳で1日歩いて、色んなお店に入って、「ちょっといいかな?」と思える物件のお隣にある居酒屋さんに財布のひもを心配しつつも暖簾をくぐることにした。
「いらっしゃい」
夕方五時のこの時間、さすがに先客はいなかった。
大将の作った大皿に盛られたお料理をあれこれと頂き、この辺のことや、このお店のことなど聞きながらお話させていただいた。
「なんで自分のお店を出したんですか?

「20年前でバブルの頃だったんで、勢いでかな(笑)」
景気が良かったバブルの頃に出した個人店が荒波を乗り越えて、今もなおがんばっているなんてすごいな。
そうこうしてるうち、ガラガラっと常連さんらしき初老の紳士がやってきた。
紳士は店の奥さんと話してて、僕は大将と釣りの話をしていると、「先輩、ちょっといいですか~」と釣りの話に入ってきた。どうみても自分より小僧の僕に「先輩~」なんてドラマで会社の役員を引退した相談役が似合いそうな紳士にそんな切り出しされると、最初は恐縮したが、海の話に盛り上がり「若いうちは海にいって、中盤は山で、最後は海にいくんだよね~、ほら体力なくなって山登りなんてできなくなっちゃうから、泳ぎゃしませんよ海でぼけっとしてるだけ(笑)」と話す紳士の話に深いなぁと共鳴していると、「いや~今日は楽しいなぁ、あっ物件探してるんだっけ?それ飲み終わったら僕がこの町案内しますよ」と言ってくださり、さすがに悪いのでお断りしたんですが、お銚子が空になって二人でお店を後にした。
紳士は地元の人に人気のお店を数件僕に教えながら歩いてくれているのですが、天気が暖かくなってきた日中と打って変わって、「北風と太陽」が頭に浮かぶほどの強い風。本当に悪いので「ありがとうございます、気温下がってるのでもうお帰りになられてください。」というと「いや、あのね~、あの男の為だったらね~何かしてやりたいんだよね~」と千駄木の駅まで見送っていただき、紳士はコートの襟を立て団子坂を登っていかれた。
「あの男の為だったら……」
うらやましいな。
お店の人とお客さんという関係を超えた関係。
短い時間に人生の色々なことを教えてくださった大先輩に感謝です。
by omodakaya-ice
| 2011-02-11 10:13
| 店探しの日々
